Foglia,Monti e Bici
◯なぜ私たちはウールに惹かれるのか

◯なぜ私たちはウールに惹かれるのか

 当店ではこれまでヴィンテージロードバイクと親和性のあるウールジャージをご紹介してきましたがこのたびウール製の帽子やツイードジャケットの取扱いを始めることになりました。サイクルジャージ、ツイードジャケット、帽子と並べてみますと一見、少し離れた存在に見えるかも知れません。けれども、私たちにとってはどちらも同じ場所につながっていると考えています。それは、天然素材を大切に使いその土地や文化とともに育まれてきたものを長く身につけるということです。改めて考えてみますと、私たちが惹かれていたのは「ウールジャージ」という一つの商品だけではなく、「ウール」という素材そのものと、その商品を取り巻く文化に惹かれていたのだと思います。

科学が認める天然素材

 ウールと聞くと、まず「暖かい素材」という印象を持たれるかもしれません。けれども、その特徴はそれだけではありません。ウールの繊維は空気を多く含み、外気の影響を受けにくくします。また、湿気を吸収しながらも表面がべたつきにくく、環境に応じて衣服の中の状態を整えてくれます。寒い季節には暖かく、汗をかいたときには不快感を抑える。現代の高機能素材とは仕組みや性能こそ違いますが、自然の繊維そのものが持つ機能には、今でも驚かされます。かつて自転車競技のジャージにウールが広く使われていたのも、単に他に素材がなかったからではありません。長時間身体を動かす衣服として、ウールには十分な合理性がありました。

時を重ねて育つ価値

 新しいものが一番良いとは限りません。ウール製品には、使い込むことで生まれる風合いがあります。少しずつ身体になじみ、手触りが変わり、その人が使ってきた時間そのものが表情として残っていきます。もちろん、ウールは決して手入れの要らない素材ではありません。洗い方や保管方法には、少し気を遣う必要があります。しかし、きちんと付き合えば長く使うことができます。何十年も前のサイクルジャージが、現在でも大切に着られていることがあります。そこには、単なる古着とは少し違う魅力があります。長く残ったという事実そのものが、その素材と作りの良さを物語っているからです。

心まで暖かくなる素材

 素材の価値は、数字だけでは説明できません。軽さや速乾性、強度だけを比較すれば、現代の化学繊維が優れている場面はたくさんあります。それでも、ウールに触れたときに感じる柔らかさや、少し不均一な表情、温かみのある手触りには、性能表では表せないものがあります。お気に入りのジャージを着る。長く使った帽子をかぶる。少し肌寒い日に、いつものニットに袖を通す。そうした何気ない行為が、使う人にとって小さな安心感になることがあります。私たちがウールを好む理由の一つは、そうした「気持ちの部分」にあるのかも知れません。

文化を身にまとうということ

 ヨーロッパのロードレースを彩ってきたウールジャージ。そして、アイルランドや英国の風土の中で育まれてきたツイード、ニット、帽子。形も用途も違いますが、そこには共通するものがあります。その土地の気候や暮らしに合わせて生まれ、長い時間をかけて生活の中に根づいてきたということです。これらはそうした文化の延長線上にある商品だと私たちは考えています。単に「クラシックなデザインだから」という理由だけで取り扱うのではありません。素材、使い方、背景にある土地の文化まで含めて、当店でご紹介したいと思いました。

 ヴィンテージロードバイクも同じです。速さや性能だけで見れば、現代の自転車の方が優れている部分は多くあります。それでも古い自転車に惹かれる人がいる。そこには、機能だけでは測れない物語があります。ウールの衣服にも、それとよく似た魅力があるのだと思います。

ウールだけが正解ではありません

 私たちはウールが好きではありますが、ウールだけが優れた素材だとは考えていません。現代の化学繊維には、軽さ、速乾性、耐久性、扱いやすさなど、大きなアドバンテージがあります。特にスポーツとして自転車に乗る場面では、現代のサイクルウェアの方が快適なことも少なくありません。

 用途によって、適した素材は違います。だからこそ、私たちは「昔のものがすべて良かった」と言いたいわけではありません。現代の便利さを知ったうえで、それでもなお選びたくなるもの。私たちにとって、ウールはそういう素材です。

商品だけではなく、その背景まで

 当店でご紹介したいのは、単なる「商品」だけではありません。その素材が生まれた土地。その背景にある文化。作り手が積み重ねてきた時間。そして、長く使うことで生まれる愛着。そうしたものも含めて、お客様にお伝えできればと考えています。ウールジャージから始まった私たちの店に、これからツイードジャケットや帽子など、新しい商品が加わります。扱うものは少しずつ広がっていきますが、私たちが大切にしたいものは変わりません。長く使いたくなるもの。使うほどに好きになるもの。そして、その背景に少しだけ物語のあるもの。これからも、そんな商品をご紹介していきたいと思います。

ウールに惹かれる理由は、一つではありません

人によって、ウールという素材に惹かれる理由は異なります。

・科学が認める機能性かもしれません。
・時を重ねることで育まれる価値かもしれません。
・暮らしに寄り添う心地よさかもしれません。
・あるいは、その背景にある歴史や文化かもしれません。

あなたは、そのどこに心を動かされますか。

 4つの視点から、ウールという素材の世界を少しだけ覗いてみませんか。興味を持たれたテーマから、ぜひご覧ください。

□ 科学が認める天然素材
自然が生み出した機能性を知る
▶ このテーマを読む

□ 時を重ねて育つ価値
長く愛される理由を知る
▶ このテーマを読む

□ 心まで暖かくなる素材
暮らしに寄り添う心地よさを知る
▶ このテーマを読む

□ 文化を身にまとうということ
ウールが紡いできた物語を知る
▶ このテーマを読む