衣服には、その土地の記憶が残っています。ヨーロッパのロードレースを振り返ると、いにしえの選手たちはウールのジャージを身につけて走っていました。チームの色、スポンサーの名前、国や地域を象徴するデザイン…。一着のジャージには、その時代のサイクルスポーツの文化が凝縮されています。
一方、アイルランドや英国では、ウールは日々の暮らしの中で使われてきました。風や雨の多い気候の中で、ツイードやニット、帽子など、土地の生活に適した形へと発展していきました。
サイクルジャージと、カントリーウェア。見た目も用途も大きく異なります。しかし、その土地の気候や生活から生まれ、長い時間をかけて文化の一部になったという点では、とてもよく似ています。私たちがツイードの商品に惹かれた理由も、単にクラシックなデザインだからではありません。その背景に、アイルランドや英国という土地と、そこで育まれてきた暮らしの文化が感じられるからです。
ヴィンテージロードバイクにも同じことがあります。古い自転車を見ていると、フレームや部品の向こう側に、その時代のレースや職人、土地の風景が見えてくることがあります。ものを手にするということは、ときに、その背景にある文化の一部を受け取ることでもあります。
・ウールジャージを着ること
・ツイードの衣服を選ぶこと
・ニットや帽子を日々使うこと
それは単に昔風の装いを楽しむことではありません。
その素材とともに育ってきた土地や歴史に、少しだけ触れることでもあるのだと思います。文化は博物館の中だけにあるものではありません。それぞれの文化を身につけ、使い、次の時代へ受継ぐことも出来ると考えても良いでしょう。
ウールの魅力は、一つではありません。
ここまで4つの視点から、ウールという素材の魅力をご紹介してきました。その始まりとなるページ「なぜ私たちはウールに惹かれるのか」に戻り、改めて全体をご覧いただくと、新たな発見があるかもしれません。
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