5月31日。待ちに待ったエロイカモンタルチーノ開催の日である。そして、とにかく長い1日であった。必然的に文章も長くなるが是非最後までお付合いをお願いいたしたい。
出発前にホテルの近くにあるバルまで歩いて行き、そこで朝食をとる。地元の人たち、警察官までが朝食を食べていた。のんびりとした朝の風景はイタリアの日常を感じさせるものだ。
宿からモンタルチーノに向かう。段々と高度を上げて行くと昨日見た小さな集落が小高い丘の上に見えてきた。昨日に引き続いて多くの人が集まっていた。自転車を受取った当店代表とともにスタート地点へ。

街中全体がお祭り会場。住民の方々も一緒に参加しているようだ。スタート地点ではPOGGIO alle MURA(壁に囲まれた丘の村)近所の村の人たちが集団でライドイベントに参加するため集まっていた。可愛いチンクチェントの先導で走って行ったけれど、どのコースを走ったのかその後コース上で会うことはなかった。


そんな最中、RAI(イタリア放送協会)のインタビューを受けた。動画も撮影されたがどうもRAIで使用されたようだ。それもニュース番組ではなく、バラエティ番組っぽい。「日本から来ました。モンタルチーノ大好き!」と言っただけの動画をどのように放送していたのか気になる。










ロングコースから続々とスタート。当店代表とコーディネーターの戸嶋さんはショートコースで出走。2人ともGPSトラッカーを持っているので位置を確認すると意外と走っていない。それもそのはず、スタート直後に激坂が待っているのだ。先を急ぐ必要はなさそうなのでその激坂のふもとにあるカフェで一休み。ここは前日にも利用したお店だ。のんびりしていると坂の下から青いジャージを着た集団が続々と登坂してくる。電力関係の会社のジャージを着た人たちとのこと。100人はいたような気がするが圧巻である。

この日は買付をする予定であったが、前日にそれなりに商品を揃えることが出来たのでサポートカーに乗車することに。まずは第1エイドステーション手前にある激坂の頂点あたりで待機。自転車を引く人たちが少なからずいる場所をシッティングで登坂してくる当店代表。疲れの見える戸嶋さんではあったが、それでもきっちり登坂は完走。既にそれなりの人たちがDNFして楽しそうに回収車に乗っていたことを考えると2人とも凄い。ここでコルナゴのジャージを着たちょっと険悪な雰囲気のカップルを目撃。男の子が先に走って行き、女の子は仏頂面で自転車を引いて上がってきた。心配した男の子が坂を下って女の子に近づくが全く表情も変えず淡々と坂で自転車を引く女の子。この後このカップルとは度々遭遇することとなる。








第1エイドステーションは丘の上にある小さな集落にあった。手前にあったエイドにはチーズやハム、スイーツ、果物と言ったものが置いてあり参加者に大人気であったがその奥の小さな教会前に出店していたはちみつ屋さんのエイドは人が来ない。「余っても仕方ないので沢山食べていいよ。」と言われて小さなパンにはちみつがかけられている補給食を頂く。美味しかった。はちみつは補給食にはうってつけなのだが、それを認識している人はここでは多くないのかも。




エイドステーションでは参加者以外の人も食事をして良いと言われたので色々と頂いてみた。ハムやチーズが美味しかった。今思うと補給食としてどうかなとは思うが美味しいならばヨシと言ったところか。









その後はアップダウンを繰り返すコース。ババヘラアイスの露天のように日傘を差して待機していたのはエロイカオフィシャルのカメラマンの女性2人。暑くて日陰のない場所での仕事は本当に大変そうだ。
途中にあった勝手エイドステーションで件のカップルを発見。もう走りたくないとのオーラを出しまくっている女の子であったが回収車に回収される気がないのか、何だかんだ言ってまた出発。しかし勝手エイドから300メートルほど先の坂の先で止まっていた。そろそろ男の子がどうにかせいよと思ったりもしたが、流石に声をかけるわけにもいかずだった。
第2エイドステーションはまぁまぁ高い丘の上にあった。仮設トイレに設置された「エイドはこの先」の看板からが遠い遠い。このエイドステーションで仮眠をとる人が続出。暑さで熱中症っぽい人が多かった気もする。



ここで謎にMTBで登坂を繰り返す男の子が1人。この集落で脚が鍛えられたのか、なかなかな速度で走っていた。チェックポイントにいた女の子たちにアピールするように話しかけていたけれど撃沈していたのはちょっと可哀想だったかな。
そしてまたも出会った件のカップルだが、何と女の子が男の子の腕に甲斐甲斐しく日焼けクリームを塗っているではないか。今まで見せつけられてきたのは一体何だったのかと思ったりもしたが、結果オーライと言ったところであった。この時までは。



第2エイドステーションで油断していたら、先に出発した当店代表から「ゴールしました!」との連絡が。残り10キロメートル強とは言え、マップを見るとそれなりにきつい登坂があったはずなのだがとにかく皆んなが驚くほど速かった。当店代表のゴールシーンを見ることが出来なかったは大変残念ではあるが、その健脚ぶりには本当に驚かされる。「上り坂が下りに見える。」の名言はここでも発揮されたようだ。

ゴール地点到着。こちらはお祭り騒ぎが相変わらず続いていた。ゴールした完走者を熱烈に歓迎する人、人、人。当店代表がゴールした時も熱烈な歓迎を受けて感動の涙を流したとのこと。その姿を見たかったものだ(オフィシャルのビデオにその様子が撮影されているが動画の購入者限定公開)。
完走者にはパスタパーティーで食事が振る舞われるとのことで会場に行ってみる。周囲で開催されていたフリーマーケットは既にほとんどの出店が片付けを終わっていた。オリジナルジャージを追加で作ろうと思った計画は虚しく頓挫した。




途中のエイドステーションで落とし物の出走カードを拾ったのだが(すぐにエイドステーションに届けた)、このパスタパーティーの場所の近くでは完走した出走カードの落とし物を発見。参加賞を受け取ったスタンプが押されていない。このあと某人にカードは預けたけれどどうなったことやら。
預けておいたレニャーノを受取って駐車場に移動している最中に件のカップルが帰ってきた。何故か声をかけられて一緒に写真を撮りたいと言う。聞くと男の子はコルナゴのエンジニアだそうだ。ここで初めて女の子の笑顔を見た。今までの仏頂面が嘘のような可愛い笑顔。ゴールはあっちの道を行くとスタートと同じ場所に出るからそこだよと教えたらありがとう、またどこかでお会いしましょうと一言残して先にさっさと行ってしまった男の子。またも仏頂面になって後を追う女の子。お互いの性格を知ってか知らずか、最後の最後まで目の離せないカップルであった。
その後宿泊地のシエナに順調に移動。夕飯はシエナの旧市街にあるレストランと言うことであった。旧市街は住民以外の車の乗入れが原則禁止されているのでマルコの案内で歩いて移動。歩いて20分くらいかなとのことであったが、いつまで経っても歩き続ける。やっと旧市街の入口である城壁の切れ目についたが、目の前に見えたのは石畳の急坂。ここはストラーデビアンケでタデイ・ポガチャルが驚異的な記録でゴールに向かった坂。この坂をシッティングで涼しい顔をしてのぼったポガチャルはやはり異次元の人と言うか、宇宙人である。
それはそれとして50キロメートルほどの距離とは言え、獲得標高が1,000メートルほどのライドをした後の2人にこのような場所を歩かせるのはどうかと思ったり。当店代表は股関節に不安があるので(自転車については筋力維持の観点から推奨されている)なおさらどうかと思う。ポガチャルの偉大な記録を作った場所を案内したいと言う気持ちは嬉しいのだが、この日は避けて欲しかった。



城内の大通りに出た途端、目の前から道幅いっぱいに広がった人たちに遭遇。不良の若者の集団かと思いきや、ほぼ全員が観光客。これがオーバーツーリズムかと。鎌倉の混雑が可愛く見えるほどの混雑の中、まずは城内のカンポ広場に到着。この日はシエナの伝統行事であるパリオの予選が開催されていた。シエナ各地区の代表が旗を持って行進しているのだけれど、子供たちが眠そうに旗を振っていたのが印象的であった。


結局1時間以上歩いてやっとお店に到着。予約時間を結構過ぎていたので食事時間も必然的に短くなる。お店の店員からは量は多いので皿数は少なくて良いとのアドバイスを受けた。確かに前菜からメインまで頼んでいたら間違いなく途中でギブアップしそうな量の料理であった。生肉(タルタル)が出てきたが美味しかった。ワールドカップドイツ大会の観戦のためにドイツに行った際、生の豚肉を食べたのだがそれ以来の生肉。その後お腹の調子が悪くなることもなかったのは内臓が強かったからなのか、鈍いからなのか。

食事を終えて店を出る。カンポ広場は人も少なく、静かに過ごす人が多かった。既に夜10時過ぎではあるが子供の姿も多かった。とここでタクシーがカンポ広場に通じる道路に停車しているのを発見。許可があるタクシーは城内に乗入れ出来るとここで知り、タクシーアプリでタクシーを呼ぼうとするがなかなかつかまらない。最後はタクシー会社に直接電話して何とかタクシーを呼ぶことが出来たがここまで1時間ほどかかった。歩いて帰ってもよかったくらいの時間ではあるが流石に完走者2人に無理をさせる訳にはいかなかった。宿について泥のように寝たのは言うまでもない。


翌日はフィレンツェに移動しイタリアを改めて学び直すこととなっている。