火野正平さんが逝去されました。あまりに唐突な訃報に触れて驚いております。
NHKで放映されていた「にっぽん縦断こころ旅」に出演されていたのはご存知のとおり。腰を圧迫骨折されてその後の番組は代役の方々が出演されていましたね。そのうち旅の目的地にひょっこり現れて「俺の出番がなくなるかと思ってヒヤヒヤしたよ。」などと照れくさそうに軽口を叩いてくれるものだと思っておりました。
この番組で思い出されるのは、愛車の「チャリオ」と長い間旅をした青い森鉄道のキャラクター「モーリー」。青い森鉄道は前職で色々とお世話になった会社。そんなこともあってモーリーがサドルの後ろにお守りのように取り付けられていたのが印象的でした。思い出されることがもう一つ。数年前の放送で以前住んでいた場所の目の前を通り過ぎ、近所の何でもない河原の公共駐車場がゴールだったこと。何故ここがゴール?と思ったものです。確かに視聴者さんの思い出の場所がこの近所だったはずですが殺風景な場所で手紙を読んでいたことにちょっと驚いた記憶があります。
火野さんが乗っていたチャリオくんことトマジーニシテンシー(TOMMASINI SINTESI)。いわゆるクロモリ鋼(Cr Mo;クロム、モリブデン)ではなく、ニバクロム鋼(NiVCr;ニッケル、バナジウム、クロム)製。トップチューブにトスカーナの駿馬が描かれたモデルもあったかと思います。今思えば何故最初から軽い、そして乙女ギアがインストール出来るカーボンロードを採用しなかったのかは定かではありませんが、リンプロジェクトさんのウェアを着て颯爽と…ではなく飄々と、そして時には悪態をつきながら(坂と橋が嫌いでしたね)走る姿を観るに最初から鉄製の自転車でよかったんだな、と勝手に思ったりしています。カーボン製のわずかなギャップでも突き上げてくるるような乗り心地はある程度歳を重ねた人にはちょっと辛いかも(私だけかな)。
火野さん、楽しい番組をありがとうございました。忌野清志郎さんと一緒にあちらの世界でも自転車を漕いでるかな。
合掌。